人工弁置換術後の慢性期合併症
気を付けないと行けないポイントは以下の3点に集約されます。
- 生体弁、機械弁そのものの不具合
- 至適な抗凝固療法
- 感染症対策
血栓弁
- 抗凝固薬が不十分な場合に起きやすい。
- 左心系では急激に心不全症状を発症、右心系では症状は緩徐に進行します。
- 人工弁の弁輪には次第に線維組織が進入し、最終的にはパンヌス(pannus)で覆われます。パンヌスの過剰な増生でも人工弁の機能が阻害されますが、これと血栓を鑑別するのは難しいようです(冠動脈ステント留置後の再狭窄イベントと発症機序が似ていますね)。
弁破壊
- 生体弁で起こり易く、機械弁ではまれです。
- 弁変性がみられた場合、早めに再手術を考慮(心不全では手術成績が低下)
感染
- 術後2ヶ月以内を早期、それ以降を晩期人工弁心内膜炎としています。
- 早期人工弁心内膜炎はぶどう球菌感染が多く、非手術例の死亡率は80%
- ①心不全、②塞栓症、③感染症のコントロールが困難な場合、④弁輪膿瘍の形成、⑤リークの発生、⑥疣贅の形成がみられた場合、早めに再手術を検討します。
- 抜歯や手術を控えている場合、抗生剤の前投薬が必要になります。
その他:縫合不全、溶血など