心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic cardiomyopathy)の治療と予後
肥大型心筋症(HCM)の一亜型で、白人のHCMのうち1〜3%、日本人では15%にみられると報告されています。男性に多く、高血圧合併例が多いとの事です。
Am J Cardiol. 2003 Nov 15;92(10):1183-6.
ECGでは左側胸部誘導で深い陰性T波が特徴的です。確定診断には非侵襲的検査が行われますが、最近心臓MRIの有用性の報告が多くあります。日本循環器学会のガイドラインによると、心臓MRIは、①正確な壁厚計測が可能(特に心尖部などエコーで観察しにくいところ)、②ガドリニウムの遅延造影により線維化の程度を評価でき、③他の心筋肥大を来す疾患との鑑別に有用との事でした。
診断基準は以下の2つを満たすこととされています。
- 心基部左室単軸断面の最大壁厚が15mm以上
- 心基部左室単軸断面の最大壁厚/心尖部左室単軸断面の最大壁厚が1.2〜1.3以上
治療薬としては、β遮断薬、ACE阻害薬、ARBを選択しますが、それらの薬剤を比較したRCTはありません。一般的に予後は良好ですが、肥大の強い場合は注意が必要です。