ワーファリンの短期中止と過量投与時の注意点まとめ
山下武志著 ”Old and New 心房細動の抗凝固療法”から抜粋しました
- 侵襲的手技の際ワーファリンを中止すると、約1%の血栓塞栓症を発症
- ワーファリン休薬後、PT-INRの半減期は0.5〜1.2日
- PT-INRが2〜3で休薬を開始すると、4日後には全例1.5以下になる
- ワーファリン再開後、治療域に達するまでの期間は平均で7〜10日間
- ワーファリンの過量投与でPT-INRが5〜9の群では、ワーファリンの休薬を行うと大出血の頻度は1%未満、PT-INRが9以上では大出血のリスクは9.5%
- PT-INRが5以上では、ワーファリン休薬4日後には治療域に戻ることが多い
PT-INR上昇例への対応は出血例と非出血例で異なる(Circulation. 2012; 125: 2944)
- 出血があれば、ビタミンK10mgを静脈投与、FFP(15〜30ml/kg)よりプロトロンビン複合体製剤(PCC:25〜50IU/kg)の投与が良い。国内の論文で、血液凝固因子製剤 PPSB-HT静注用500単位「ニチヤク」を500〜1000単位の投与し中和したという少数例の報告があった。(ワルファリン投与中の症候性頭蓋内出血に対するプロトロンビン複合体製剤(PCC)の拮抗効果および予後)
- 出血はないがPT-INRが10以上であれば、ビタミンK 2.5〜5mgを経口投与
- 出血がなくPT-INRが4〜10であればワーファリン中止のみでも可