勉強ノート

診療中に気づいたClinical Questionについて、自分なりにまとめています。間違いがあったら教えて下さい。

新規抗凝固薬で脳出血が少ない理由

心房細動患者における抗凝固薬の無投薬下での脳出血の発症率は0.2~0.3%、ダビガトランの投与を行っても、この比率の増加はなく、頭蓋内出血の副作用は無いと考える事ができるとの事です。

以下の仮説が考えられています。

  • 血管損傷時に凝固カスケードを開始させる組織因子は、血管内膜下にあります。
  • 組織因子が血管内に表れると第Ⅶ因子と結合することによって凝固が開始されます。
  • 組織因子の発現レベルが高い臓器では、普段から凝固が開始されやすい状態です。
    • 脳は組織因子の発現レベルが高いのは,脳、心臓、消化管粘膜、皮膚など
  • 第Ⅶ因子が抑制されると、組織因子の多い臓器では出血しやすくなります。
  • ワーファリンは第Ⅶ因子を減少させるので、脳出血のリスクが高くなります
  • ダビガトランは第Ⅶ因子を減少しないので、脳出血を誘発しにくいのです。