勉強ノート

診療中に気づいたClinical Questionについて、自分なりにまとめています。間違いがあったら教えて下さい。

妊娠と出産の循環器疾患

妊娠・出産と心臓病に、非常に参考になる意見が記載されていました。基礎心疾患があるから妊娠は禁忌と言うことは簡単ですが、患者さんと共に考え、必要に応じて専門医に相談するという姿勢が必要です。

妊娠時には以下の血行動態の変化が見られ、心拍出量が約30%増加します。

  • 末梢血管抵抗の低下
  • 子宮/胎児血流の増加
  • 血液量が40〜45%増加
  • 心拍数が10〜20%増加

以下の基礎疾患は妊娠による死亡のリスクが高く、妊娠は禁忌とされています。

  • 肺高血圧症
  • 有症状の大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁狭窄症と大動脈弁縮窄症
  • 大動脈基部が40mm以上に拡大したMarfan症候群
  • チアノーゼ性心疾患
  • 機械弁

基礎疾患があっても出産可能な場合もありますが、主治医との相談と定期的な検査が必要になります。また、出産時には帝王切開を選択するなど気を配らないといけません。循環器科産婦人科、小児科の医師の中には、妊娠出産に関するエキスパートの医師がいます(例えば、関西圏では国立循環器病研究センター周産期・婦人科)。そういった病院へのコンサルトが望ましいと思います。

基礎疾患がなくても以下の循環器疾患を発症することがあるので、頭の片隅に記憶しておく必要がありますね。