アルドステロン拮抗薬による副作用 女性化乳房について
国内で使用できるアルドステロン拮抗薬は2種類、女性化乳房の発症頻度は以下の通り。
- スピロノラクトン(アルダクトンA) 9%
- エプレレノン(セララ) 0.5%
スピロノラクトンによる女性化乳房、月経異常の機序は、体内の女性ホルモンの増加によるものと考えられています。これは、女性ホルモンの増加だけで無く、男性ホルモンの減少による相対的な女性ホルモンの増加によっても説明できるようです。
文献的には以下の機序が考えられています。
- スピロノラクトンは、強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンの受容体と結合することによって、男性ホルモンの作用を減弱させる。
- スピロノラクトンは、テストステロンからエストロゲンへの変換を亢進させ、エストロゲン/アンドロゲン比の増加により、女性ホルモンが有意になる。
- テストステロンの合成系の酵素阻害により、テストステロンが減少する。
- テストステロンの代謝クリアランスが増加し、テストステロンが減少する。
エプレレノンは、アルドステロン受容体への選択性が高いため、こうした副作用の発現頻度が低いと考えられています。男性の患者さんの中には、女性化乳房や乳房痛を訴える方もいますが、スピロノラクトンからエプレレノンへ変更すると副作用が改善されることが多いです。