勉強ノート

診療中に気づいたClinical Questionについて、自分なりにまとめています。間違いがあったら教えて下さい。

JRC蘇生ガイドライン2015のポイント(抜粋)

JRC蘇生ガイドライン2015とは、国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation:ILCOR)が作成した治療勧告コンセンサス(Consensus on Resuscitation Science and Treatment Recommendation:CoSTR)を参考に、日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC)が作成したガイドラインの事です。最新のエビデンスを基に5年毎に更新されています。

今回の改訂のポイントと強調されている点は以下の通りです。

  • 救急要請
    • 電話で通信司令員に指示を仰ぐことが強調された
  • 胸骨圧迫
    • 回数:100回以上→100〜120回/分
      • 120回以上では胸骨圧迫が浅くなりやすい
    • 深さ:5cm以上→約5〜6cm
      • 6cmを越えると胸骨圧迫による外傷が増える
    • 1〜2分毎に交代する
    • 手の付け根を、胸骨の下半分に置く
    • 手の組み方に関しての記載はない
  • 呼吸の確認
    • 胸や腹をみて呼吸がなければ胸骨圧迫開始
      • 市民救助者の場合は、頭部後屈顎先挙上は不要
    • 迷った場合も、すぐに胸骨圧迫開始
    • 死戦期呼吸は心停止として対応
  • 電気ショック
    • 初回のショック:
      • 150J(二相性、120〜200Jまで機種により違う)
      • 360J(単相性)
    • 2回目以降:
      • 可能であればエネルギー量を漸増する
  • 不整脈
    • 難治性VF/VTの場合に投与
      • 難治性とは初回の電気ショックで停止できないVF/VTの事
    • アミオダロン:300mgの静脈内投与
    • ニフェカラント:0.3mg/kg
    • リドカイン:1〜1.5mg/kg
  • 強心薬
    • REA/心停止では、すぐにアドレナリン1mgを投与
    • バソプレシンをアドレナリンの代用として使わない方が良い
    • アトロピンはPEA、心静止いずれもルーチンでは使用しない
      • 心静止でアドレナリン投与が無効な場合は投与しても良い
  • 自己心拍再開(Return of Spontaneous Circulation:ROSC)
    • 酸素:SpO2が確認できるまで100%酸素投与
    • SpO2が確認できれば生理的な範囲で酸素投与
    • 体温:32〜36℃が目標(少なくとも24時間以上)
    • 血圧:維持する(具体的な目標はないが・・・)